エブリディ・マジック-日だまりに猫と戯れ

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『動物たちの内なる生活-森林管理官が聴いた野生の声』ペーター・ヴォールレーベン

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以前、ドイツをはじめ各国でベストセラーとなった

森林管理官が聴いた森の声『樹木たちの知られざる生活』について

載せたことがあります。

 

www.salon-shiroineko.com

 

自然の樹木たちについて、とても興味深い内容でしたが、

この著者のペーター・ヴォールレーベン氏が

引き続き、今度は動物について書いた一冊

『動物たちの内なる生活ー森林管理官が聴いた野生の声』があります。

その邦訳が、今年の8月に出ました。

 

動物たちの内なる生活――森林管理官が聴いた野生の声

動物たちの内なる生活――森林管理官が聴いた野生の声

 

 

長年、森林の管理をしながら、

動物とも交流してきた著者によって

様々な動物たちの世界や知恵と共にそのエピソードが

綴られています。

 

 ──キッチンにあった深皿いっぱいのジャガイモ団子(クネーデル)を平らげたあと、そしらぬ顔でとぼけていたうちのメスイヌ、マクシは、生ける大食らいロボットなどではなく、精妙に愛すべきいたずら者なのである。思い込みかもしれないけれど、じっくり見れば見るほど、飼っている家畜や森にいる彼らの野生の親類たちに、人間的な心の動きばかりを見出してしまうのだ。そして、その点で私はひとりぼっちじゃない。多くの動物種が私たちと共通の性質を分け持っているという認識にいたる研究者は、どんどん増えている。カラスのあいだにはほんとうの愛があるって? たしかにあると考えられている。リスは親族の名前を知っているだって? ずいぶん前からそう報告されている。どこに目を向けようと、そこには愛があり、共感があり、喜びに満ちた生がある。この種のテーマに関する科学的研究が、今では数多く存在するのである。

 

 さて、リスは良いやつなのか、それとも悪いやつなのか? どちらでもない。リスは私たちの保護本能に訴えかけ、そのことが良い感情を呼び起こす。だがそれも自然の気まぐれの結果にすぎない。良いとか役に立つということと、それはなんの関係もないことだ。つまりはメダルの両輪であって、同じく私たちに愛されている小鳥を殺すことがすなわち悪、というわけでもない。動物は腹を空かせる。栄養たっぷりの母乳を必要としている子どもたちの世話もしなくてはならない。

 

  動物の世界には、たとえメディアで嘘の例として挙げられていても、実際はそう言い切れないものが、むしろ狩りの戦略と呼ぶべきものがある。たとえば、キツネ。彼らはクジャクチョウとは違って、意識してだますことができる。狩りの戦術の一部として、キツネは死んだふりをし、その際にときに舌をだらりとたらしたりする。開けた風景のなかに、ぽつりと死骸があるぞ? それにはつねに引き取り手がいる。とくにカラスの仲間だ。カラスは豪華な肉の提供品に、たとえそれがちょっとうさんくさいものであっても、喜んで飛びつく。我らがキツネの場合は、まだつやつや新鮮だ——いや新鮮どころの話じゃないのだ! かの黒々とした鳥がごちそうにありつこうとすると、ふと気づけばキツネの歯のあいだにいて、しまいには自分のほうがごちそうに変わってしまうのである。それは名人芸的な擬態のわざであり、確実に詐欺行為であるのだが、嘘いつわり、というにはほど遠い。(中略)

 でも、道徳的に責められるべき、ってなんだろう? 私個人としては、いかな悪巧みだろうと、動物の精神生活とはなんと多面的であることかと感嘆するばかりなのだけれど。

 

実にさまざまな動物たちが取り上げられています。

アリやハチ、チョウやガなどの昆虫、

シカ、イノシシ、ノロジカなどの狩猟動物、

カラスやカケス、シジュウカラなどの鳥類、

身近にいるリスやハリネズミ

家畜としてのウマやヤギ、ブタ、

そしてウサギやイヌ、さらに類人猿…。

 

  

 

そして、人間的な思い込みや都合での介入が

時に野生動物や生息地に危機を招きかねないといった

自然世界の仕組みも伝えてくれます。

 

著者などの人間と生活圏を接する動物たちの

行動から垣間見れる彼らの「内面」へと

できるだけ客観的、時に科学的な研究の事例も引きながらも

著者自身の実感を大切に

あれこれ考察したノンフィクションですね。

 

動物たちの生態など興味深い内容もさることながら、

何より自然と動物たちを愛するそのまなざしが

感じられるのがいいです。

 

引用は最初の方から取りましたが、

あまりに事例や対象も多いので

あとは断念しました(笑)

 

訳者のあとがきにありましたように

”本書は、彼が森で出会い、あるいは

家や放牧場で過ごした動物たちの「感情」や「意識」について、

著者自身の体験と

学問的な成果を絶妙に混ぜ合わせながら綴ったエッセイ”。 

 

動物たちの感情や意思についても、

著者の興味は尽きません。

私たち人間の視点から捉えたくもなりがちテーマを

あくまで客観性も持って果敢に探っています。

 

最後の方で触れられていますが、

ひいては魂や精神性となると、

それぞれの考え方や生き方、思想も反映されるため、

皆が同じというわけにはいかないかもしれませんね。

 

ただ、言えるのは、特に

身近で動物と接している人なら

それぞれが愛情ある存在としての交流を持っているのを、

実際に感じ、体験しているということです。

今後はさらに、同じ地球上で

自然界に生きる野生動物や鳥、昆虫、そして菌類まで

すべてのものに敬意と理解を持つことが何より

大切なのでしょう。

 

 

 

 

今日の一枚

レース編みドイリー(センター)

 

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 (40番レース糸 生成り   直径33㎝)

 

 

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