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やはり2月。
一転、寒空が広がると、
暖かな居心地のいい部屋でぬくぬくとしていたいな…
とも思います。
ある美しい月夜、魔女のこねこのゴブリーノと妹のスーチカは
初めて洞窟から出て、広い世界にワクワクします。
妹のスーチカが、早く立派な魔女ねこになりたいというのに対し、
ゴブリーノは“ぼくは、ふつうの台所ねこになりたいな。
暖炉の傍で前足を胸の下にいれて、まあるくなって、のどをごろごろならし…
家の優しい家族とずっと一緒にいたい…”と言います。
しかも彼は、全身が真っ黒で緑の目のはずの魔女ねこと違って、
何と右の前足の先がまっ白、うっすらと縞模様さえ見え、
青い目をしているのに気づかされます。その時から、
魔女と魔女ねこのかあさんにつらく当たられ、
しまいにおいてきぼりにされてしまいました。
でも彼は、心から台所ねこになりたかったので、
素適な家を見つけて住もうと決意して、出発します。
やがて、川に流されているところを、農家の子供達に助けられ、
早速彼の思い描いたような家にたどり着くのですが…。それも束の間、
彼は魔女ねこであることが災いして家にいられなくなってしまいます。
こらーじゅのおもちゃ箱より #101 はがきコラージュ
この後、実に様々な境遇を経て、彼の冒険が続くのでした。
まずは、孤児達を助けてみなしごの家に行き、
それから猫が苦手な奥さんのいる町長さんの家、
キャットショーに出たり、船乗りと過ごし、お姫様と暮らし、
人形芝居の一座に加わり、塔のねこ、木こりのねこ、魔女のねこにもなります。
けれども、とても邪悪な魔女の手先にはなれない彼は、
魔女を怒らせて魔法をかけられて…。しかし、
それこそは彼が望んでいた“台所ねこになってしまえ”でした。
更に激高した魔女に崖から突き落とされそうになったのを救ったのは、
妹のスーチカ、彼をほうきに乗せて、ある場所で落とします。
それはあの最初の川でした。再び、子供達に引き上げられたゴブリーノ…
後はおわかりですよね…。
純真で優しい心持ちのゴブリーノが、ただ平和に暮らしたいだけなのに、
行く先々で苦労し、落ち着く先を見つけられずに彷徨う姿が
何ともいじらしくも健気で、
先へ先へと応援しながら頁を繰らずにはいられません。
これは、絵本でなく童話ですが、
邦訳は愛らしい挿絵がついて読みやすいです。
勿論、原作の活字も大きくてお薦め。原作の序文に、
イギリスの児童文学作家ジョーン・エイキンが寄稿していて、
実際の猫もいろいろな個性があるけれど、
お話の中で活躍するあまたの猫たちのうちでも、
もし孤島に連れて行けるなら、長靴を履いた猫でもなく、
ゴブリーノにするだろうと書いています。なぜって、彼なら、
島で一番居心地のいい素適な場所を見つけてくれるだろうから…と。
- 作者: アーシュラウィリアムズ,平出衛,Ursula Moray Williams,中川千尋
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2004/04/15
- メディア: 単行本
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「魔女のこねこゴブリーノ」 アーシェラ・ウィリアムズ作
中川千尋訳 平出衛絵 福音館書店
“GOBBOLINO THE WITCH'S CAT” URSULA MORAY WILLIAMS
(文庫“青い猫”#23より)
穏やかな日常は、あたりまえだと思っていると、
ときめきが薄れてしまいますが、何か事が起こったりしてから
実は、それが極上の幸せであることに、ようやく気がついたりする。
それにしても、本当は、自分が何を望んでいるか、知らないことには
叶う望みもわからないか。ゴブリーノはわかってたんだな~。
よかった、よかった。
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