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オキザリス 桃の輝き
児童書としてその本のことは知っていながら、
子どもの頃には、なぜか食指が動かなかったのに、
かなりの大人になって、初めて読んで、はまり、
ああ、やはり名作だったんだと感じ入るものが
いくつかある。
メアリー・ポピンズなどもそうだったが、
3年前ほど、ふと興味を感じて、
文庫があるということで読み出し、すっかりその物語世界に
魅了されたものが、ムーミンシリーズだった。
ムーミン童話限定カバー版 全9巻BOXセット (講談社文庫)
- 作者: トーベ・ヤンソン
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/08/01
- メディア: 文庫
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おりから、その(2014)年は、作者トーベ・ヤンソンさんの
生誕100周年ということで、イベントやらもあり、
あらためてのブームでもあった。
もともと私は、キャラクター好きのミーハーでもあるので、
その点でも、偶然の時期到来と相成り、はまったわけであるが(笑)
で、それまで見たことのなかったアニメのムーミンも少しと、
雑誌やら、コミックまで手を出したり。
やはり、物語がいいのだが、
トーベ・ヤンソンさんが画家であることに
こだわっていらしただけあって、挿絵がまた素晴らしい。
こうしてお話と絵が混然一体となって、面白いとか
楽しいだけでなく、哀感や、虚無感といったものや
北欧の風土と自然やらとの、あの独特な空気感をはらんだ
不可思議な世界の魅力に惹きつけられるのだった。
最近、図書館で借りてきた、タイトルの
折々に開いて、原作からの144点という絵と、
ヤンソンさんの家族との写真などを眺めて、楽しんでいる。
(ということで、ムーミン一家ともうひとつの家族になるのだが)
水彩なども素適だが、彼女の真骨頂は、
書き直しも厭わなかったというペン画の味わいにある気がする。
そしてまた、絵の解説ではなく、
作者と物語の背景を伝えてくれる章立ての内容が読める。
そして、何より、ところどころ絵の下に置かれた(引用された)
トーベ自身の言葉 (新聞やインタビュー、雑誌などから)が
大切なことを述べていて、とても興味深い。
「『日常的なものにひそむ昂ぶりと、幻想的なものにひそむ安らぎ』このふたつは、子どもにとってもおとなにとっても、おなじようにたいせつです。わたしたちは、日常においても、わくわくするできごとをたくさん経験します。それらがなかなか眼に入らないのは、たんに慣れっこになっているせいかもしれません」
12頁(「ヨーテボリ・ブックフェア・カタログ」1987年)
ああ、これは手元に置きたいかも(笑)
本は欲しくなってしまう人なのだが、
近年は、決めた本棚に入るだけとしているところでも
あって、一応慎重ではある。
それにしても、児童書というが、
ちょっと哲学的な面もあって、今になってこそ
読み応えあると感じていたら、こんな言葉もあった。
「ムーミンの物語はどんどん子どもの本ではなくなっていきました。このまま続けていくのは、シリーズものだからといって、子どもたちに望まれているからといって、誠実ではないだろうと思いました。終わらなければなりません。終わらせなければならないこともあるのです。それに、あの時代に戻りたいと思っても、もう戻れないのです」
90頁(「フィンランド放送のインタビュー」1991年)
それでも、また
「ムーミン谷のおとぎ話(サーガ)的キャラクターは、まるで扉のすきまのように、それらはいまも子ども時代にむかってちょっぴり開いています。…」
とも述べているのであった。
巻末には、国際アンデルセン賞受賞スピーチの文も載っていました。
絵も写真も文も楽しめて、ムーミンの世界が好きな人にはおすすめですね。
先代ボーイズ シニアズ あったかハート
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