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揺れながらバランスをとる-『整体から見る気と身体』片山洋次郎さん

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3月を前に、冬らしい寒さの日も多かった。

季節も、人生の変わり目も

バランスをとるのが大事な時期ともいえますね。

  

 

 

 ――整体の場合、背骨の弾力や、筋肉を具体的に読んでいくわけです。それで今、体がこういう状態だと判断をしたり、背骨のここに狂いがあるから矯正するんだという考え方であると一般には受けとられていると思います。

 そうじゃなくて、それは一応そういうふうに読むんだけど、バランスが崩れているというのは、ある面では自然なんだということもできます。今の「歪んだ」状態は全体の流れの中の途中一つの位置を占めているにすぎなくて、そこから時間的にこういうふうな経過で、こういうふうになっていくという見方です。今のところだけをみるんではなくて、長い経過の中でみるという考え方がおろそかだと、ちょっと間違えるということだと思います。

           『整体から見る気と身体』 片山洋次郎

 

これは、「揺れながらバランスをとる」という章で

“老化”について問われ、

例えば、四十肩や五十肩は、いずれ治るもので

何か体にとっての必要があると考えた方がいいという。

 

この場合、胸椎2番がねじれているという。


――うまくねじれて肩関節の方にしわ寄せがいってくれると、確かに胸椎2番が硬くならない。そのあと肩が治って元に戻ったときに、真直ぐのいい位置で弾力がある状態に戻ることができる。つまり、肩という一部分にしわ寄せはいきますが、老化によって体のバランスが変わっていく期間に、うまく血管系――一番大事な部分を守るという一つの体の選択なんだろうと思います。


この時期に、目や耳が働かなくなるというのも

そうした適応の仕方といえるという。

 

四十肩・五十肩になったり、「更年期」症状が出るような老化の節目=変動期に無理をしないでうまく体を休めることが、一番の対策です。

 

「この忙しい時に痛くなるなんて…」などと

非難したくなる向きもあろうが、とんでもないかも。

もしかして、感謝しなくては(笑)


何と体の賢いことか…

あまり、いたわっているとは言い難いのに

こんなに忠実に私たちを守っている我が身体。

もっとその声を聴きとって、素直に従おう

という気になります。

というか、気が楽になる、良い内容だと思う。

 

整体から見る気と身体 (ちくま文庫)

整体から見る気と身体 (ちくま文庫)

 

 

風邪はもちろん、アレルギーやその他よくある

疾患や症状についてのお話もいろいろ

気の交流や共鳴についても興味深く

よしもとばななさんが言われるように

「何回読んでも新発見のある名著」

文庫で読みやすく、

私も、繰り返し拾い読みするたびに

感心させられます。


ところで、繰り返しになるが、冒頭の引用にあるくだり

今の「歪んだ」状態は全体の流れの中の途中一つの位置を占めているにすぎなくて、そこから時間的にこういうふうな経過で、こういうふうになっていくという見方です。今のところだけをみるんではなくて、長い経過の中でみるという考え方がおろそかだと、ちょっと間違えるということだと思います。  

 

これは、身体のゆがみだけでなく、

人生についてもいえるかもと

最近、思う。

 

その時は、バランスを崩して、

つらかったり、大変に思われる状況であっても

その人の人生の流れの過程の一つであるとなると

短絡的にいい悪いはわからず、

そこだけを拡大解釈するのは賢明でない気がする。

 

そして、流れといっても、

時は、常に新しい一瞬一瞬ということにもなり、

永遠にプロセスだとしたら、その時々を

ただ味わうというスタンスでいいのかもしれない。

 

 

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