エブリディ・マジック-日だまりに猫と戯れ

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映画『ハリーとトント』老人と猫の(1970年代の)傑作ロードムービー

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猫が家族の一員となって以来

本にせよ、映画にせよ、

猫ものとあらば目に留まる…という按配なのだが、

その昔、「ハリーとトント」という映画があったよな~と

ずっとタイトルだけが記憶に残っていたのが、これだ。

 

当時は、まだ10代で若すぎたからか

印象は薄かった(あまり覚えていない)が、

どこかで気になっていたので、 

あらためて見たいと思っていたら

図書館のDVDコーナーにあったので

見ることが出来た。

 

ハリーとトント [DVD]
 

 

72歳になる元教師のハリ―。妻のアニーは他界し、

3人の子どもは独立しており、

ニューヨークで愛猫のトントと暮らしていたが、

アパートの取り壊しで立ち退きを求められていた。

理不尽さに最後まで居残り、警官たちに

ソファごとトントと共に運び出される。

 

リア王の台詞をはきながらも

駆けつけた長男の家に身を寄せることになるのだが、

奥さんとの間はしっくりせず、

お互い気を使うのはよろしくないと、

シカゴの娘の元へ行くことにするのだった。

 

空港に送ってもらったものの、

荷物検査でトントの入った籠を預けるのが嫌で

飛行機に乗るのをやめ、バスへ。

ところが、途中でトントのトイレのために

無理やり停車してもらうものの

トントは雲隠れ。荷物を降ろしてバスもやめる。

戻ってきたトントを叱責しつつも

「そうか、バスは嫌いか? 自由がいいか、わしもだ」と

言うハリー。

 

結局、中古の車を買って

更新していない免許を持って(笑)

猫と共に旅が始まるのだった…

ヒッチハイクの連れができたり、

淡々とした描写と流れの中での

珍道中が味わい深い。

 


Harry and Tonto  ハリーとトント

 

 

決して、

大きな盛り上がりがあるわけではないが

出会う人々とのやりとりの中に

これまでの人生の思い出や

これからの生き方を垣間見ることが出来、

さりげない名演が渋く光っている

静かな味わいのある作品だと思う。

 

当時では老年といっても

かくしゃくとして、凛とした気品さえ感じる

ハリーは、家族に対しても決してべたつかず

自立して自由であろうとする姿も潔い。

頑固な面もあるのかもしれないが、結局は

変化を受け入れて、また自ら新しく前を向いて

生きていこうという姿勢は、実に印象的だ。

 

トントの最後はあっけないが、

旅立つ彼に、ハリーは歌を唄ってお別れする。

その後、ラスト近くで、トントに似た猫を見つけて

不自由な足で、思わず駆け寄る姿は胸を打つ。

また、再会したもののもはや記憶が曖昧な

初恋の相手と踊るダンスシーンといい

染み入るような感慨深い場面も少なくない。

 

猫が登場する映画といっても

猫が活躍するわけではなく、あくまで

相棒としてそこにいる存在感だけなのだが

このべたつかない関係性は

やはり猫がふさわしかったのだろう。

ことさらに年配の悲哀を強調することなく、

哀感漂いながらも、ユーモアが感じられるのもいい。

 

  

 

 

当時(第47回アカデミー賞)で、ジャック・ニコルソン

アル・パチーノダスティン・ホフマンという

芸達者なそうそうたる面々を抑えて

アカデミー賞の主演男優賞のオスカーを獲得したというのも頷ける。

ハリー役のアート・カーニーの演技は素晴らしかった。

また、音楽は、ロッキー以前のビル・コンティで、

これもとても印象に残るいいメロディだった。

脇を固めた演技派の俳優陣も実によかった。

邦画の「東京物語」とよく比べられるそうだが

この歳になってよけい、じんわりとくる

こうした映画の良さがわかるような気がする。

 

1974年の公開作というから、もはや40年以上が過ぎ、

当時の雰囲気や風俗も昔懐かしい感じだが

DVDもメイキング替わりに、

監督ポール・マザースキー自身の話(解説)が聞けるのも

興味深いものだった。何でも

監督の母君が、愛猫にリードをつけてお散歩させていたそうだ。

トント役の猫は、2匹で演じ分けたという。

 

オールドムービーであるが

大人の味わいがわかる人にオススメです(笑)

 

また、本と同じで、年齢を経て見直すと

そのよさが格段によくわかるというものもあるのだと

あらためて感じました。

近年にまたDVDで出ているし

派手さはなくても、また見たくなる

名作の一つといえるのでしょう。

 

 

1974年初公開 アメリ

監督:ポール・マザースキー

音楽:ビル・コンティ

主な配役:

主人公のハリー:アート・カーニー

長女シャーリー:エレン・バースティン

長男エディ:ラリー・ハグマン

初恋のジェシー:ジェラルディン・フィッツジェラルド

家出少女、ジンジャー: メラニー・メイロン

老ネイティブ、2本の羽のサム:チーフ・ダン・ジョージ

 

 

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