スポンサーリンク
前回もちらと触れましたが、今秋出版された
徳間書店の新刊『ムーミン谷のすべて ムーミントロールとトーベ・ヤンソン』

ムーミン谷のすべて: ムーミントロールとトーベ・ヤンソン (児童書)
- 作者: フィリップアーダー,Philip Ardagh,徳間書店児童書編集部
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2018/10/11
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログを見る
見ました~、そして読みました!
楽しかった、面白かった、興味深かった…。
それにしても
まず、実際に本を見てビックリ
でかい、
いや大きくて厚い
中身も熱い~(^^♪
サイズを確認してなかったのですが
アマゾンで梱包サイズを見直したら
27.8×22.4×3.6㎝ とありました。
図鑑のようですよ、まるで。
全ページカラーの豪華本。
大きいから、ふんだんに盛り込まれた
絵や写真もとても見応えがあります。
何より、内容も充実している。
(児童書)ともあったけれど
文学好きの大人でも読み応えあると思う。
何といっても(児童書)とても読みやすいし、
文字も大きめで、中高年にも嬉しい(笑)
トーベの作品はほかにはない世界で、たぐいまれな想像力を駆使して描かれています。それは、魔法と憂鬱、友情と家族の愛の世界です。そしてこの世界には、小さな生きものの持つ希望や恐れや夢への、トーベの驚くべき洞察が隠されているのです。読者も、小さな生きものの気持ちにひそかに共感することでしょう。そして、どの本にも、生き生きとしたおもしろい、愛すべき登場人物が息づいているのです。
この“はじめに”の一節は
著者のフィリップ・アーダー氏によります。
氏は、イギリスの児童文学作家。
考古学と歴史にも興味があるそうで、
海辺の町で奥様と二匹の猫と暮らしているとのこと。
本は、第一部と第二部に分かれ、
まずムーミンの世界とそこに住む仲間たちが紹介され、
その後、すばらしい芸術家トーベ・ヤンソンの世界を見せてくれます。
出典となっているのは、ムーミンシリーズの主な八冊の物語。
折々に、“ムーミンの知恵”として
物語から、ふんだんに引用されている文章は
いわば名言集ともいえそう。
とにかく、イラストと原画、参考資料、貴重な写真が豊富で
見やすく、ムーミンシリーズ愛読家としては、ぼれぼれ眺めちゃう。
また、ムーミンシリーズにはさまざまな登場人物がいて、
これがちょっと複雑で、ややこしかったりもするのですが、
(実はスナフキンとミイが兄弟(姉と弟にあたる)と
いうのは知ってましたが)
見事に一人ひとり丁寧に紹介されていて、あらためて
それぞれのキャラクターについて
そうだったんだ~と納得しました(笑)
個人的には、やはり二部の
生い立ちから暮らしと多彩(多才)な仕事、世界観や芸術に関して
読み応えありました。(写真と資料が多く見応えも)
ムーミンの物語がはじめて生まれた時代は
当時の戦時下(フィンランド冬戦争時)であり、
物語は、暗い現実を脱するためのおとぎ話、
想像の産物として始まったそうですが、その後
戦争の終わりに向かい、創作意欲も復活し
挿絵をつけて完成されていったといいます。
根ざしたものであり、独特な雰囲気をもっていますが
愛の寛容さと自由に満ちた世界観が広がっているのも
特徴といえるでしょう。
この大型本の見開きには
“Labore et amare.”
働け、そして愛せよ とのトーベの言葉が記されています。
彼女が自身の芸術家としての仕事をいかに
家族や友人と同様に愛していたかが伝わってくる言葉ですが
一貫して自由な表現と主張を込めた幅広い業績にも
感心させられる内容となっています。
私は、トーベの母親がモデルといわれる
ムーミンママが好きなのですが、
ムーミンママがイギリスの子どもさんへと
送った手紙の追伸も微笑ましいものでした。
p.s. 字のまちがいをおゆるしくださいね。わたしたちムーミンは、気のむいたときしか、学校にイかないものですから。
熱心な子供たち読者への返信も
労を惜しまなかったというトーベ。
また、前回載せた異色の一冊『ムーミン谷の十一月』についてですが、
実は、トーベの母親ハムが亡くなった悲しみをも表わしていると
されていたのですね。
そして、これがシリーズ最後の一冊ではありましたが、この後
出された絵本がまた不思議な世界を描いた
『ムーミン谷へのふしぎな旅』でした。
本当に、いろいろ興味の尽きない話が載っています。
ありがたいことに
すぐに図書館で購入してくれたようで
こうして早く、実物を手に出来てよかったですが
重くて持ち運びが大変だったから
車で助かりました(笑)
この一冊は、ムーミンの物語が好きな人には
贈り物としても喜ばれるかもしれませんね。
目下、本棚も断捨離中の私は、
購入本はかなり慎重にしているのですが
この『ムーミン谷のすべて』は、以前の一冊
『ムーミン画集 ふたつの家族』↓と共に
是非、本棚に迎えたいと思っています。
芸術にできるすばらしいこと——よりよい世界を作ること。
風刺画家、パブリックアーティスト、さらにだいじなこととして、フィンランドのある種の文化大使など、トーベの社会的な役割における強みは、彼女の作品がとても個人的だという点にある。彼女のもっともよく知られた絵画は自画像だし(「都会のパーティ」には自画像とともに小さなムーミンも描かれている)、物語の登場人物は家族や友人をモデルにしている。
『たのしいムーミン一家』の終わりに、ムーミンママのハンドバッグが返されたことを祝うパーティを描いたすばらしい絵がある。だれもがパーティーに参加している——恐ろしい飛行おにでさえも。なぜならムーミンの世界では、敵を打ち負かしたり恐怖を追いやったりはしないからだ。敵も恐怖も招き入れられ、居場所が準備されている。わたしたちの弱さももろさも、夏の太陽の下に、存在することが許されている。
これこそがトーベが芸術を通してやってきたこと——すべてのものをパーティに招き、そのままの姿で来てください、と言うこと。
応援クリック↓↓よろしくね!
ご来訪ありがとうございます。