寒い時期ですが、
晴れて明るい日差しが気持ちいい。
アメリカを代表する女流詩人、
エミリー・ディキンソン(1830‐1886)はご存じですか。
生前わずか10篇の詩を発表しただけで、無名の生涯を過ごし、
没後発見された膨大な詩篇により、優れた詩人のひとりとされた女性。
アメリカ北東部、ニューイングランドのアマーストという田舎町で、
屋敷からほとんど外に出ることもなく、
いつも白い服を着て人前に現れなかったため、変人と噂され、
謎に包まれた生活であったといわれています。
彼女の名前は、学生時代、英米文学を少し学んだので、
知ってはいましたが、その詩集を手にしたのは、卒業後、
海外旅行が趣味だった友人が、アメリカのお土産だとくれた一冊でした。
友人は、ディキンソンのことも知らず、ただ適当に選んだということでしたが、
それが、最初の出会いでした。
その後、岩波文庫等の翻訳でも広く親しむようになり、
そののびやかな詠い方で心に響く詩の美しさに感じ入ります。
さて、いろいろな絵本を読み始めて(バーチャル文庫を始めた当時)
この稀代の詩人と女の子のふれあいが描かれた
美しい絵本があることを知りました。
- 作者: マイケルビダード,バーバラクーニー,Michael Bedard,Barbara Cooney,掛川恭子
- 出版社/メーカー: ほるぷ出版
- 発売日: 1993/09/20
- メディア: 大型本
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「エミリー」 マイケル・ビダード文 バーバラ・クーニー絵
わたしの家のむかいの黄色い家に、女の人が、いもうとと住んでいます。町の人たちはその人のことを“なぞの女性(ひと)”とよんでいます。(中略)その人は、20年ちかくも、家の外にでたことがありません。知らない人がくると、たちまちどこかにかくれてしまいます。頭がおかしいのだといううわさもあります。でも、わたしにとっては、その人はエミリーです……。
女の子の一家が引っ越してきて間もないある日、
その“なぞの女性”からママに、ブルーベルの押し花と共に、
ピアノを弾いてほしいという手紙がきました。
真っ白いドレスを着た女の子はママと黄色い家に行くことになります。
こっそり部屋をぬけだした女の子は、階段の上で、
白い服を着て膝の上の紙切れに何か書いていた女の人に出会うのです。
「それ、詩なの?」
「いいえ、詩はあなた。これは、詩になろうとしているだけ」
そして、二人は、ひそやかな贈り物をしあいます。
絵本全体が詩のような趣ながら、この場面は特に素適でした。
そして、ラストの詩篇がまた素晴らしいです。
バーバラ・クーニーの絵の落ち着いた佇まいが、
画集のように見応えのあるものにしています。
ディキンソンの詩のように、澄んだ優しい気持ちになる上品な絵本ですね。
(文庫“青い猫”#3より)
はてなでは、こちらより先に始めたブログで、さらに
ディキンスンの詩に魅了されるようになりました。
今頃になって、原詩でも読みたくて、新しいペーパーバックで
全集(フランクリン版)も求めました。
分厚いけれど、身近で拾い読み出来て、すごく嬉しい(笑)
その書と言葉(詩歌など)のブログ、こちらに
しばらく更新情報を載せていませんでしたが、ゆるりと更新しています。
そちらで、今日載せた詩にある、”美しいひとたち” というのが、
絵本にあるような女の子などのことなのだろうと思われます。
何かは、人それぞれだと思いますが、
日常で、ささやかでも、お気に入りを見つけると
とても豊かな気持ちになります。
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