スポンサーリンク
有名なピーター・ラビットの作者、
ビアトリクス・ポター(1866-1943)であるが、
後年は執筆をはなれ、さまざまな活動をした女性だったようだ。
印税収入で、愛する田園が広がる湖水地方の広大な敷地を、保護するために購入し、
ナショナル・トラスト運動のさきがけともいわれたのは、知っていたが、
昨年、ビアトリクスを描いた映画 ”ミス・ポター”を、DVDで見て、興味を惹かれた。
Miss Potter trailer (英語のトレーラー)
ビアトリクスを演じたのは、レニー・ゼルヴィガー。
今や、ブリジット・ジョーンズのイメージが先行したりもするが、
才気煥発な感じのビアトリクスを小気味よく演じていた。
ビアトリクスは、ヴィクトリア時代の中産階級で恵まれた家庭環境に
あったものの、弟とペットの他は、友達の少ない、孤独な子供時代を送る。
両親、特に母親との確執があり、やがて、作品を出版社に持ち込むことで、
自立(自由)をめざし、そこで出会ったノーマン・ウォーンと
恋に落ちるのだった。この恋は切ない終わりを迎えるのだが、
その後、親元を離れ、自主独立の人生を歩んでいく。
ピーター・ラビットらのアニメも、ちらと織り込まれ、全体に洒落た音楽と
素晴らしい映像で楽しめた。オープニングから、美しい。
(ノーマン役は、ユアン・マクレガー、その姉役にエミリー・ワトソン)
実は、私は、一連のピーターラビットのお話をよく読んでいたわけでなく、
先の映画『ミス・ポター』を見て、あらためて興味を惹かれたのだが、
ちょうど昨年(2016)は、生誕150周年ということで、原画展などや
いろいろなイベントがあったようだ。
(映画は、2006年で、140周年にあたった)
ようやく最近、読みたかったそのビアトリクス・ポターについての本を
借りてきて、目を通すことができた。
- 作者: ジュディテイラー,Judy Taylor Hough,吉田新一
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2001/01/30
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
分厚い一冊だが、ポター研究の第一人者ジュディ・テイラーによる
画期的なポター伝で、その人となり、作品、伝記的背景など
よくわかる。(この著書の当時は、生涯を描いた映画はまだなかった)
見開きのカバー裏にあるビアトリクスの紹介が、その多才さを物語っている。
〈ピーター・ラビットの生みの親〉ポターが、すぐれた水彩の風景画家で
あり植物画家であったことを、ご存じでしたか? 農業に従事し、牛と羊
の飼育家として著名であったことを、ご存じでしたか? さらに、湖水地
方で広大な土地を買って、それを手つかずで国民に遺した自然保護活動の
先駆者であったことを、ご存じでしたか? そして、興味のつきない、じ
つに魅力的な女性であったことを……
そして、また
昨年秋の新刊では、園芸家としてのビアトリクスについて
写真や、彼女自身による植物画なども楽しめ、読み応えのある一冊がある。
ビアトリクス・ポターが愛した庭とその人生―ピーターラビットの絵本の風景
- 作者: マルタマクドウェル,Marta McDowell,宮木陽子
- 出版社/メーカー: 西村書店
- 発売日: 2016/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
ピーター・ラビットは、もとは、
知り合いの子供たちに書き送っていた絵とお話をまとめたものだったという。
ビアトリクスは、実務的なリアリストでもあり、徹底したその観察眼によって、
ベストセラーとなったピーター・ラビットの絵もお話も、活き活きしたものとなって、
永く愛される作品となっているのだろう。
(後に設立された、ビアトリクス・ポター・)ソサエティの設立者たちが
特に強調しているのは、子供の本のシリーズの著者であるばかりでなく、
風景と自然誌の画家でもあり、日記作者であり、農業家でもあり、そし
て、彼女自身が特にその点で人々に記憶していてもらいたいと希望してい
た自然と伝統の保護者でもあった、という点です。
こうして、ビアトリクスは、ベストセラー作家というだけでなく、
実に多彩な活動家であったのですね。
時代的にも、先駆的な生き方をした女性であったといえます。
47歳の時に、不動産の管理を担当してくれた弁護士
ウィリアム・ヒーリスと結婚して、家庭生活も楽しみます。
77歳で他界した後、遺骨を託された羊飼いトム・ストーリィによって、
丘陵の秘密の場所に散骨され、その大地に還ったということです。
友人によれば、”ごまかしや気取りは近づけず、もてはやされるのが
大嫌い、鋭いまなざしの人だった”というビアトリクス、こよなく
湖水地方を愛して、自然そのままの姿を今に遺してくれたのですね。
また、以前載せましたが、
自然を愛して保護した先駆者といえば、
やはり子供たちにも動物記で知られたシートンも そうでした。
応援クリック↓↓よろしくね!
ありがとう♪ 励みになります。
にほんブログ村
ご来訪ありがとうございます。