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日中はけっこう蒸し暑いものの
涼しい風が吹くと秋の気配も感じる
今日この頃…
断捨離が再開といいながら
また本棚の前で手が留まって
厳選図書を読み直している私
それはそれで至福の時間で
懐かしくも新たな発見の愉しみでも
あるんですが、
もうすぐ週末
借りた本(図書館から)の期限が切れそうだった..。o○わ
と、思い出した一冊
『角野栄子 エブリデイマジック』コロナ・ブックス
何か似たような本、前に載せてたっけね。
角野栄子さん、その後2018年の8月に
「国際アンデルセン賞」を受賞されましたね。
お好きな赤いお召し物に赤い縁取りのメガネ、
チャーミングなお姿通り、素敵な写真と(絵も)
内容もとても溌剌として
充実した一冊でした。
前も書いたと思うけれど
うちのブログタイトルも
「エブリデイマジック」なので
この本もスルー出来なかった(笑)
「人間の日常のなかに不思議が混ざる物語のジャンル
――“エブリデイマジック”。」って
始まるけれど、
私はこのジャンルが大好物。ちなみに、
当ブログのコンセプトにも関連しているので、
記事にしています。
『魔女の宅急便』のイメージからは
猫となりそうですが、
角野さんはシーズー犬と暮らしてらしたそう。
また個人的には
角野さんが大学では、英米文学を学ばれて
師が龍口直太郎氏であったこと
そして『月と六ペンス』で知られる
サマセット・モームがお好きだった、また
卒論は米文学のカーソン・マッカラーズだったというのが
ちょっと興味深かった。
モームは私も好きだったけれど、
残念ながら、マッカラーズは読んでないんだな。
マッカラーズの書く人々はいつもとてもとても不安で、愛されることを求めてさまよう孤独な人ばかりだった。彼女は「木・岩・雲」という作品で登場人物の老人にこんなことを言わせている。「人はまず、木・岩・雲」を愛することからはじめるんだね」
(「ファンタジーが生まれるとき」より)
マッカラーズを選んだのは、フランキー(『結婚式のメンバー』)やミック(『心は孤独な狩人』)との出会いが大きかったと思う。この心もとなさは、かつて自分が感じ、そして今も持てあましているものだった。ここではないどこかに、行けば……せっかちにそれは出来ると思っていた。
「ここではないどこか」があると思っていた角野さんは、
同じ思いの結婚相手と共に、地球の反対側のブラジルへ
自費移民として渡った。
そのブラジル在住の頃のお手紙、旅の話、思い出、趣味…
読み応えもあったうえに、
創作のプロセスというか、執筆の秘訣を
あまねく話されていることも面白かった。
うーんなるほどねぇ、って。
向田邦子さんは仕事用に「戦闘服」と名付けてゆったりとした服を誂えてたそうですが、その気持ちはすごくわかります。まず、日常的なことから心を自由にすること、意外に思われるでしょうが、「これから私は童話を書くんだ」と思わないこと、そして「だれにも見せない」と心に決めることです。
聞き慣れた「昔むかしあるところに」というような形の思い込みを
とりはらい、童話でなくて、自分が楽しいと思うお話を書くこと、
自分が好きだか気持ちから書くのであって、
人に見せようという不自由さもいらない。
自分は好きだから書いているんだ、というふうになれない人は、ちょっとむずかしい。なかなかいいものは書けないでしょう。これは断言できる気がします。上手下手は別として、自分が気持ちよく楽しく書けたことに勝るものはありません。
そんなふうにして、なんでもいいから書く。書けなかったら、絵でも落書きでもいい。書くことに身体が慣れるように、毎日毎日書くことです。「きのう三枚書いたから、きょうはもういいわ」ではなくて、とにかくコンスタントに書く。そうやって、考えるスピードと手の動きが、同じ速度になるのに慣れる。これは、私の経験からいって、とても大切です。
倦まずたゆまず書き続けるって、同じことを
『子どもの本の書き方』ってエッセイの中で
イギリス児童文学者のジョーン・エイキンも語ってたな。
仕事のコツなんだろうね。
さて、最後の方では
30冊の本棚、と題して
写真そしてリストも紹介されていた。
ほんとうに大切な本は、きっと30冊ぐらい。そんなトクベツな本を入れておく、小さな本棚があったらいい――。そう提唱する角野自身の30冊+アルファを「おすそわけ」。
例の真っ赤な本棚に並んだ年季の入った本たち。
たまりません(笑)
その30+アルファの中には
背表紙が見えない1冊に娘さんと繰り返し読んだ
『ひとまねこざる』から『ちいさいおうち』とか
さすがに児童文学も沢山入っていて
『エルマーの冒険』、
まどみちおさんの詩集、
『マルコヴァルドさんの四季』や
エイキンの『とんでもない月曜日』
アリソン・アトリ―の『時の旅人』等々…も
含まれていて
深く頷いてしまったわ(*´∀`)
断捨離中の本棚を見ても
私のトクベツな本、30冊+αって場合、
ほとんど児童文学や絵本、詩集じゃないかと
いう感じだもんね。
ところで
アンデルセン賞受賞にちなむのか
2018年6月の文藝春秋に寄稿されたらしい
文章も載っていたけれど、
そこでは、角野さんが
アンデルセン博物館に行って出会った遺品の中で、
少年アンデルセンが作った針刺しから感じとった想い、
また、よく旅をした彼が持ち歩いたという
ロープ(非常用)に目を留めます。
貴族の館に呼ばれ、大人にも子供にも歓迎され、滞在をしながら、即興のお話を語る。そういったお話の中から、今に至るまで世界中で読まれている物語が生まれていきました。童話作家として大成功を収めたと言っていいでしょう。でも、彼の心の底にある幼少時の哀しみの記憶は、マッチのように消えることはなかったのです。
哀しみには力があります。贈り物があります。それはけっして小さなものではないと思います。見えないものではあるけれど、もしかしたら、喜びより大きい贈り物かもしれません。
実は、80代半ばの角野さん、
お元気で仕事を楽しんでらして何よりですね。
「好きだから続けられる」って語られています。
自分の「好き」を大切にしよう。
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